夜の闇を窓越しに見つめながら、瀬那は溜息を吐く。 もう、何日恋人に会っていないだろう。 瀬那の恋人は、この国の国王であり、多忙なのは当然だった。瀬那がウィンフィールドで再び近衛兵として暮らすようになっても、滅多に会えるものではない。否、来栖は瀬那を国王付きの近衛兵にしようとしたのだが、それは瀬那が断ったのだ。 どうせなら一からやりなおしたかった。 だから、国王である来栖に、一近衛兵である瀬那が会えることは殆どない。瀬那から来栖に会いに行くことは出来ない。それでも、来栖は何かと瀬那に会いに来てはくれるけれど、此処最近随分多忙らしく、なかなか会う事が出来ないでいた。 もう、一月近く会っていない。 それを寂しいと思うのは我侭だ。大体、瀬那が旅に出ていた頃は半年近く会わない事だってあったのだ。それでも、恋しいとは思っても、これほど寂しいとは思わなかったのに。 何故だろう。 物凄く会いたい。会って、話して、キスして触れ合いたい。 会いたくてたまらない。 「クリス…」 ――セナ… ぞくっと背筋が粟立つ。 来栖の声を思い出す。その眼差しを、自分に触れてくる指を。ぬくもりを。 ――可愛いよ、セナ 何かあればすぐにそんな風に言う来栖。最初は不満に思ったけれど、段々そう言われる事が気恥ずかしくもあり、でも嬉しく、暖かい気持ちにさせられた。 暖かい腕に抱きしめられて、甘えさせられているような気がした。 瀬那はベッドに座る。 思い出すだけ恋しさが募る。 瀬那は自分のものに手を伸ばして触れた。 「あ…っ」 来栖の声、唇、それを思い出し、体が疼く。それを握り込んで扱いた。 「クリ…ス、あ…ぁ…ん…」 その名前を言葉にするだけで尚更想いが増していく。 どうしようもないほど想いだけが膨らんでいく。自然にそれを扱く手も早くなる。 「ぁ…ぁふ…っ…ん」 目を閉じて、来栖の姿を思い浮かべる。 声も、手も、瞳も、全てが愛しい。恋しい。 「…セナ?」 名前を呼ばれてはっとする。幻聴、ではない。 慌てて目を見開いてそちらを見ると、驚いた顔をした来栖が立っていた。 「あ…っ」 かっと顔が熱くなるのが解かる。 来栖の顔が、驚いたものから、少し、意地悪そうな顔に変わった。 「オレに会えなくて、寂しかった?」 「それ…は…っ」 「寂しかったんだろ?だから一人でしてたんだ」 そう言って瀬那に近づき、キスをしてくる。 「ん…っ」 「しろよ、見ててやるから」 「クリス…っ!」 「ほら、もうこんなに大きくなってんだから。な、オレが目の前に居るんだぜ?我慢出来る?」 どくっと、心臓が大きく脈打つ。 来栖の囁きに促されるように、再び手が前に伸びた。 「そう、扱いて、ちょっと爪を立てるのがいいんだよな。袋のとこも、茎の裏も、全部ちゃんと触るんだ」 来栖の声に促されるままに手を動かす。 その声を聞いているだけで、たまらなく感じた。 「あ…クリス…あぁ…」 「乳首つまんで。ちょっとキツイくらいが好きだろう?」 「んっ…ぁ…」 その言葉に従い、片方の手で胸の突起に触れた。 自分で触れているのに、来栖の言葉を聞いているだけで来栖に触れられているような気分になる。 「大分、先走りも出てきたな。ほら、後ろに入れようか?」 先走りで濡れた手を後ろに伸ばす。 指を一本其処に突き入れる。 「お前の中、凄く熱いよな。指はもっと奥。そう・・・其処が、お前のいいところだ」 「あ…っ、あ…ん…クリス…っ」 来栖の言葉のままに手を動かして感じる場所を刺激する。 「指、二本にしようか。中広げて、もっともっと感じろよ」 「ふあ…っ、あ…んんっ…」 「三本、入るだろ?ぐちゃぐちゃいらしくひくついてる」 「あ、クリス…クリス…もう…っ」 「もう、イきたい?いいぜ、イって」 「ぁ…はっ…あああっ!!」 射精して、乱れた息を整える。 後ろに入れていた手を引き抜くと急に冷静さを取り戻した。 自分が何をしたのか理解した途端に羞恥で居ても立っても居られなくなる。 けれど、来栖はそんな瀬那の心情を知ってか知らずか相変わらず意地悪そうな顔でにやにや笑っている。 「オレに会えなくて寂しかったんだろ?」 「クリス…っ」 「素直になれよ。そしたら今度はちゃんとオレが触ってやるから。欲しいんだろ?オレが」 「クリ…ス…」 欲しい。自分で触るだけでは足りない。本当は来栖に触れて欲しい。 けれど、素直に言葉を綴るのはどうしても途惑われる。自然と縋るような顔になっていたのだろう、来栖が苦笑する。 「オレに、会いたくなかった?」 「そんなことっ」 「会いたかったんだろ?」 「クリス…」 「ほら…」 「会いたかった…です。凄く、会いたかった。会って、貴方に触れて欲しかった」 「上出来」 そう言って来栖はキスをしてくる。 瀬那は来栖の首に腕を回してより深く貪ろうとする。 「ん…んんっ…クリス…抱いてください」 「ああ…オレもあんたが欲しい」 そう言って来栖は瀬那の後ろに自分のものを突き入れた。先程瀬那が解していたのであまり抵抗はないが、久しぶりなだけあって少しきつい。 「あ…くっ…ふぅ…っ」 「セナ…」 愛しげに名前を呼ばれる。来栖と繋がっている。それがどうしようもない喜びに繋がっていく。 「クリス…動いて」 「オッケ」 来栖はもう一度瀬那にキスをして腰を動かし始める。 「ぁ…っ、あ…ん…っ」 動き始めても、来栖は瀬那に負担を掛けないようにゆっくりと動く。けれど、それでは足りない。 「クリス…クリス…もっと強く…奥まで…っお願いです」 「セナっ」 「ひぁっ!…ゃ…んんっ…ぁ…あぁ…」 来栖の激しい突き上げに瀬那はその背に腕を伸ばして縋りつく。深く、強く、全身で来栖を感じたい。誰よりも近く、来栖を傍に感じたい。 「イイか?セナ…」 「ひっ…んんっ…ぁあ…いい…です…あぁ…」 「そうか。オレも、すげえ…いい」 そう言って来栖は尚更深く突き上げてくる。動きに合わせることも難しくなって、ただ来栖にしがみつく。 「クリス…もう…もう…ぁ…ん…」 「ああ…オレ…もっ」 そう言って来栖は一度ぎりぎりまで引き抜いて一番奥まで貫いた。 「は、ぁ!…ぁああっ!!!」 「っ…セナ!」 二人は同時に達して、瀬那は来栖に強く抱きしめられた。どうしようもなく、その腕が欲しかったのだと思い知る。 暫くそうしていると、不意に来栖がくすくすと笑い声を洩らした。 「クリス?」 「久しぶりに暇が出来てお前に会えると思ったら、あーんなことしてんだもんな。ホント、びっくりしたぜ」 「クリス、もう、言わないで下さい」 「何で?オレは嬉しかったけど?」 「クリス…」 来栖の言葉に瀬那は顔を赤く染める。 その瀬那の様子を見つめて、来栖は瀬那にキスをする。 「あんたが、ちゃんとオレのこと想ってくれてるんだって解かって、すげえ、嬉しかった」 「当然です。私は、誰よりも貴方を愛しているんですから」 「ああ、オレも、あんたを愛してる」 そう言って来栖はもう一度キスをくれた。 「誰よりも、愛しい恋人だ」 強く強く抱きしめられて、それが涙が出そうなほど嬉しかった。 会って、触れて、感じたい。 誰よりも貴方だけを。 Fin |